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高梁市3月議会討論(大森一生)-cafe' de 紅緒

高梁市3月議会討論 (大森一生)

(討論8名参加、うちCCC指定管理に関しての討論は賛成討論4名、反対討論4名 採決の結果、賛成多数でCCCが指定管理者に)

 

【私の討論】 
 私は今議会に提出された議案の中で、議案第28号「高梁市立図書館条例の一部を改正する条例」と議案第48号「高梁市立図書館の指定管理者の指定について」また、本日提出されました議案第64号「平成28年度高梁市一般会計予算に対する修正案」に反対の立場で、それ以外の議案、請願、陳情につきましては委員長報告を了として討論させていただきます。
 

 まず、議案第28号「高梁市立図書館条例の一部を改正する条例」でございますが、中央図書館という名称から中央という文字を削除するという議案です。中央という文字を広辞苑で引きますと「まんなか」「枢要な位置。また、その位置にあるもの」とあります。枢要とは最も重要であるとか、最も大切な所という意味です。執行部からの説明では、合併前は高梁市図書館と呼ばれていたとか、省略した方が親しみやすいとか言った説明があっただけで、何ら合理的な説明もなく、恣意的な感じは否めません。


 
人口減少、少子・高齢化といった厳しい環境の中で、どのようにして教育や生涯学習、子育て環境を充実させていくのかが問われています。賑わいの創出といったことだけでなく、高梁市の公共図書館の中核として、公教育の補完的な機能をも合わせ持った中央という名称は外すべきではないと思っています。
 

 次に議案第48号「高梁市立図書館の指定管理者の指定について」でございます。これにつきましては、通告質問でも申し上げましたとおり、何故、公募という形を取らずCCCありきで進められたのか。大きな理由としてふたつ挙げられています。その一つが直営で運営するより年間/一千万円ほど安くなり経費の削減につながる。もう一つがCCCから高梁市の抱えている行政課題を解決するための提案がなされていることを大きな理由としています。
 

 日本創成会議で消滅可能都市として県内トップにランキングされた高梁市。新図書館を核にした駅前複合施設建設がその課題解決のための新たな魅力づくりとして期待していることは十分理解しています。そして有名カフェ、書店を図書館内に併設したりすることも反対するものではありません。
 

 また、年間20万人という控えめな来館者を想定されていますが、JR高梁駅の一日当たりの乗降客数や備中松山城などの近年の盛り上がりをはじめ、市の観光振興、景観まちづくり、地域のまちづくり団体の活発な活動を考慮すれば、それ以上の入館者数が期待できるのではないかと思っています。
 

 しかし、その新たな魅力づくりの手段としてCCCを指定管理者に予定し進められてきましたが、その運営はブック&カフェでの賑わい、空間の演出が中心で、ツタヤ書店の延長線上でのイベント以外は高梁市の公共図書館としての具体的な運営の提案は結局示されていません。先行事例である、武雄市、海老名市でお聞きしてもこれといった特色のあるものはありませんでした。
それどころか不適切な運営、管理で武雄市、海老名市、小牧市などにおいて訴訟問題や住民投票に発展しています。そのような相手を公共施設の管理者と、していいのかという問いには、違法行為が確定しているのならだめだが、訴訟の相手だけという理由だけなら構わないとの答弁がありました。
 また、そのような相手において公共性は担保されているのかという問いには、私たち公共が選定した管理者であるから当然公共性は担保されているという答弁もありました。
 

 本当に公共性は担保されるのでしょうか。また、市が言うように、CCCに高梁市が抱えている行政課題を解決するだけの能力やノウハウがあるのでしょうか。それに対しての答弁はこれからCCCと一緒に考えていくといった答弁に終始し、明快な回答はいただけませんでした。契約でその内容を明文化するのだからその履行責任はCCCにあるといった意味の答弁もありました。結局、「やらしてみなければわからん」といったところではないでしょうか。
 

 また、「賑わいの場」とか、「交流の場」とか、「場としての図書館」の説明はありましたが、重要であろう「場所としての図書館」としての具体的な説明はありません。図書館は子供たちや若者、子育て中の主婦、そして高齢者にとってそれぞれの異なった意味で「居場所としての図書館」として認知されるようになってきています。「私の居場所 自殺したくなったら 図書館へ行こう」という論考が物議を醸しました。図書館が地域で欠かすことのできない場所として新たな価値が評価されつつあるようです。CCCにそのような理念の有無のほどはわかりませんが、公共図書館としての図書館には、市場原理がもたらす消費行動とは離れた文化的目的に基づいた経営が要求され、明確な文化的目的意識が必要であることは間違いありません。

 

 もう一つの大きな理由として経費の削減があげられています。通告質問でも申しましたように、図書館流通センター(TRC)から365日、9時から9時までの同じ条件で、人件費、ロイヤリティの5年間の総合計でCCCより1億2千5百万円安くなるとのご提案をいただいています。直営と比較すれば1億7千5百万円も安くなります。
 

 また、全国で450に近い図書館での指定管理の実績から、高梁市の実情に合わせた具体的なご提案もいただいています。そのほかにも多くの民間業者があると聞いています。なぜ、全国から高梁市の実情に合った、そして具体的で、実効性のある提案を公募しなかったのでしょうか。大きな疑問、矛盾を感じざるを得ません。

 

 議会と首長は是々非々が基本です。市民の多くの声を執行部側へ伝えていくのが議会の役割です。高梁市議会では、議会基本条例を平成24年6月に制定しています。
その条項の中では、市民を代表する議決機関であることを常に自覚し、公正性及び透明性を重視して、市長等執行機関の市政運営状況を監視するものとしています。
 また、議会に課せられた役割と責務に基づく市の意思決定機関として、公共の福祉のために活動し、市民の意思を代弁する合議制機関であることから、自らの創意と工夫により市民との協働を図り、高梁市のまちづくりを推進していかなければならないとし、議員の自覚を促し、その責任を明確化しています。

 そして、議会基本条例の大きな柱の一つに、議員は、議会が言論の場であること及び合議制機関であることを認識し、議員相互の自由な討議を尊重するものとあります。
 しかし、このツタヤ図書館に関して、市長、執行部とは一般質問をはじめ多くのやり取りを重ねてきましたが、市民の代表である議員同士が議論をして合意形成にどれだけ力を注いできたでしょうか。先般行われた総務文教委員会での討論において、これまでの執行部の説明や経緯経過について疑問はあるが、図書館運営の主体は教育委員会である。その教育委員会が選定したCCCについては公共性があり、経費削減にもなっているといった執行部の発言やCCCの提案をそのまま疑いもせず鵜呑みにした発言がありました。開館に向けて市とCCCが協議しながら市民の意見を十分取り入れて進めていただきたいといった期待を込めての討論でした。意思決定機関であり、市民の代弁者でもある議会の責任を
放棄したかのような、議会不要論にも発展しかねない発言ではないでしょうか。

 

 この問題は行政の役割とは何か。公共性とは、公共マネジメントとは何かを考えるには最高の事案ではないかと思っています。また、公共図書館の本質とは何か。情報過多社会における情報リテラシー、情報の非対称性の問題。地域格差、教育格差、貧困や公会計制度の問題そして産業振興、地域振興など地域内の好循環をも視野に入れたマクロからミクロまでの多様な視点からのアプローチが可能な、次の高梁市、ネクストタカハシが議論できる問題であると思います。数十億円という多額の税金を使う以上、新図書館、複合施設の果たす役割を、ただ単に賑わいの創出、交流人口の増加といった質の見えにくいことを免罪符にしてはいけません。縮小社会、減少経済においては、その量ではなくて、その質が重要なのです。

 

 終わりになりますが、議員の皆様におかれましては、議員としての自覚と責任において、次の世代に禍根を残さないようにしっかりとしたご判断をお願い申し上げまして私の討論とさせていただきます。