「個人資産とインフレ」(フィデリティ退職・投資教育研究所)
個人資産は過去25年横ばい
最大の特徴はその総額が過去25年の間、まったく増えていないことです。1990年の個人資産総額は2476兆円でした、これがバブル経済の崩壊で2300兆円強まで下落したものの、99年には2497兆円まで戻しました。その後は再びリーマンショックで2258兆円まで下落しました。直近はアベノミクス相場で回復する傾向にあり、直近データの2015年には2500兆円まで戻ってきました。それでもグラフをみていただくとわかる通り、過去25年間ほぼ横ばいだったといっていいことがわかります。
現金・預金は倍増、土地は半減
金・預金が拡大するなかで、大きく比率を下げてきたのが土地の評価額です。1990年には個人資産に占める土地の比率は実に60.0%に達していましたが、バブル崩壊による土地価格の下落とそれに伴う個人の土地放出もあって、比率はどんどん低下し、2004年についに現金・預金に首位の座を奪われました。そして2015年には27.3%にまで下落しています
インフレが次のトレンドの鍵
インフレ期待 デフレが続くなかで現金・預金の実質価値は維持・上昇してきましたが、インフレになれば反転します。それが現金・預金から他の資産に資金が移る力になります。土地に向かうのか有価証券に向かうのかは定かではありませんが、日本の個人資産のトレンドを変える力になりそうです。