【紅緒文庫からのご案内】
「限界費用ゼロ社会」
(ジェレミー・リフキン著 柴田裕之訳 NHK出版刊)
-〈モノのインターネット〉と共有型経済の台頭ー
『第15章・・・持続可能な「豊穣の角」より』
ある社会で生産にかかわる経済活動の限界費用がセロに近づくと、古典派経済学と新古典派経済学の理論は言葉を失う。
限界費用がほぼゼロにまで縮小すると、財やサービスは市場での価格決定から解放されるので、利益は消失する。そして、財とサービスは本質的に無料になる。ほとんどのモノがタダ同然になれば、財ヤサービスの生産と流通を司るメカニズムとして資本主義の稼働原理は何もかも無意味になる。
というのも、資本主義のダイナミズムの源泉は稀少性にあるからだ。
資源や財やサービスは、稀少であればこそ交換価値を持ち、市場に提供されるまでかかったコスト以上の価格をつけうる。
だが、財やサービスを生み出すための限界費用がゼロに近づき、価格がほぼ無料になれば、資本主義体制は稀少性をうまく活用して、他者に依存される状態から利益を得ることができなきなる。「フリー」には、二つ意味がある。価格が「フリー」、すなわち無料であることと、稀少性による、、、(中略)、、製品やサービスは使用価値やシェア価値を有する一方、交換価値を失うのだ。
『資本主義からシェアリング・エコノミーへ デジタル革命の真のインパクトを読み解く 第三次産業革命のブレーンが描く、衝撃の未来図!』(NHK出版ホームページより)
いま、経済パラダイムの大転換が進行しつつある。
その原動力になっているのがIoT(モノのインターネット)だ。IoTはコミュニケーション、エネルギー、輸送の〈インテリジェント・インフラ〉を形成し、効率性や生産性を極限まで高める。それによりモノやサービスを1つ追加で生み出すコスト(限界費用)は限りなくゼロに近づき、将来モノやサービスは無料になり、企業の利益は消失して、資本主義は衰退を免れないという。
代わりに台頭してくるのが、共有型(シェアリング・)経済(エコノミー)だ。人々が協働でモノやサービスを生産し、共有し、管理する新しい社会が21世紀に実現する。世界的な文明評論家が、3Dプリンターや大規模オンライン講座MOOCなどの事例をもとにこの大変革のメカニズムを説き、確かな未来展望を描く。
21世紀の経済と社会の潮流がわかる、大注目の書!日本版向け書き下ろし「特別章」付き!
『日本人は「限界費用ゼロ社会」を知らなすぎる』
(東洋経済ONLINE)ー文明評論家リフキンが描く衝撃の未来ー
10月29日、『限界費用ゼロ社会』(NHK出版)が刊行される。原著者であるジェレミー・リフキン氏は、日本での刊行に合わせて、特別章を執筆した。ドイツと比較し日本が「限界費用ゼロ社会」に向けた取り組みが遅れていることを指摘すると同時に、今後の取り組み次第では世界のリーダーになれるともいう内容だ。今回、東洋経済オンラインではこの特別章の全編を掲載する。
https://goo.gl/KkA19G (東洋経済ONLINE)